menu

中古住宅購入の思わぬ落とし穴・注意点

ゼロ金利からマイナス金利へ。銀行各社の金利は下がる一方。現在「フラット35」など住宅金融支援機構が住宅購入を応援し、各種銀行と提携し、様々な立場・ケースで購入ができるよう特化したサービスも出てきています。そんな中「住宅購入のタイミングって今なんじゃない!?」と思っている方も多いのではないでしょうか。

一言に住宅購入と言っても新築・中古戸建て、新築・中古マンションなど様々な形態がありますが、今回は「中古・戸建て購入の注意点」に迫ってみます。

今回は札幌の新築購入を考え、思わぬトラブルから購入を断念したと言うFさん(39歳)についてお話を伺ってみました。

購入が決まっていた物件を売主側が急にキャンセル

札幌で新居購入を検討し、いくつかの物件を見て回ったFさん。希望予算の中で比較的良い物件を札幌市 北区で見つけ、購入を考え担当の不動産会社と具体的に話を進めました。説明によると売主は持ち主から依頼を受けた「弁護士」とのこと。この点において特にFさんは疑問に持たず、値段交渉もすすめ、無事、購入許可をこの「弁護士」から得られ一安心。気になっていたのは三回も持ち主が変わっていたことくらいです。

同時に通していたローンもまもなく下りるというタイミングでなぜか「今回はお断りさせていただきます」との電話を不動産会社づてに受け取りました。まさに寝耳に水。一度は進んでいた購入交渉、なぜこのタイミングで!?疑問をもったFさんにはある心当たりがありました。もしかして最後にしたあの質問がネックになったのでは!?…と。

売主が必死に隠したがった「地盤と杭」の問題に直面

Fさんが今回札幌市北区の住宅購入にあたり、最後にした質問はずばり「この地区(札幌市北区・新川)の地盤は後背湿地(こうはいしっち)であり弱いとされていますが、建築当時、杭打ち等、地盤を考慮した建設がなされておりますでしょうか。」というもの。

住宅購入は多くの人にとって、人生で一番大きな買い物とも言える一生の買い物。当然地盤や建築を気にするのは当然のことであり、この質問も妥当なものだと言えます。今回検討した物件は1993年築。新耐震基準制定後であり、地盤の弱い札幌市北区であれば当然その対策をしているであろうと言う、確認程度の質問でした。

しかし、この質問をした瞬間、売主の弁護士は態度を変え、問答無用で購入を断って来たのでした。理由を聞いても不動産会社の担当者は「売主の意向だから理由ははっきりわからない。ただ、相手は弁護士であり、一度断られたら覆すのは難しい」とのこと。

長い間検討し、やっと見つかった物件。Fさんは大変落胆し、自分に何か落ち度があったのかと腑に落ちない気分になりました。

その後住宅事情に詳しい友人に事の顛末を話したところ

「売主は出来れば地盤や杭の事に触れない買い手に早く売ってしまいたかったのではないか。その質問を受けた瞬間、痛いところをつかれ、売主でも把握していない不明点の発覚を恐れたその弁護士が強引にキャンセルしたのだろう。」と言う返答が。

なるほど。Fさんもうすうす感じてはいたけれど「やはりそうだったか」と納得しました。建築当時の資料は無いかもしれないと担当不動産会社にも言われており、持ち主が複数変わっていることや弁護士が間に入っていることにもやや不安に思っていたので、それが的中した形でした。

質問後、急なキャンセルが入った時は激しく落胆しましたが、逆にその質問をせずに進めていたらとんでもない物件をつかませれていたのかもしれない。むしろその質問をしたことに救われたのではないかと思うようになりました。

関係する日本の高齢化事情。住宅を手放したい人が多い

今回の出来事の背景には実は日本の高齢化にともなう住宅事情が大きく関係していると住宅取り扱い関係者は言います。

「憧れマイホームを夢見て、80年代~90年代に住宅の建築ラッシュがありました。現在高齢化に伴い、その時に建てた(特に郊外や駅から遠い)住宅を持っている持ち主が、より便利な立地のマンション等に引っ越すことが増えており、それによって使われなくなった戸建て物件が増えてきています。一方購入を希望する若者は減る一方で、戸建てに関しては、売りたい人>買いたい人のバランスが顕著であり、今後もこの図式は加速していきます。まだ地価や物件価格がそれほど下がってない今、老朽化や地盤を考慮していない物件を一刻も早く物件を売りたい売主が増えているのです。

また、地盤や杭等に関してまったく知識の無い若い購入検討者も多く、そのような“文句の言わなそうなお客”を売り主は好んで探しています。今回はFさんが地盤や杭の事を質問した瞬間“文句の言わなそうなお客”では無いと判断され、強引に購入をキャンセルされたのでしょう。高齢化社会で増える中古戸建て物件。早く売り抜けてしまいたいと考える、このような悪質な売主が増えていると言います。

一点ものの中古市場。どうしても購入したい物件が見つかったとしても、購入に当たって質問を躊躇してはいけません。遠慮してものわかりの良いお客を演じた結果、不良物件をつかませれるのは買い手の方なのです。優良な売主は買い手が不安な部分をきちんと説明し、親身になってくれるものです

今回のケースにあった札幌市 北区は全体的に地盤が弱い地域として知られていますので、それを考慮した建築がなされているかどうかも知らなくてはなりません。逆にそれらを確認することで、仮に地盤の弱い地域であっても、精神的にも安心して住むことにつながります。現に札幌市北区でも多くの方が地盤にとらわれず快適に生活しています。」


こんなところに影響していた日本の高齢化社会。思わぬ落とし穴があった中古戸建て購入。最近流行のリフォームやリノベーション等の外観に惑わされず、しっかりした目を持って「一生ものの良い物件」を選びたいですね。 【井出】

※今回のケース・地区・業者・発言等は一例です。かならずしもすべてのケースに当てはまるわけではありません。