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漫画 7SEEDSについて

『7SEEDS』(セブンシーズ)は田村由美の作品で2001年11月から連載が開始。16年の連載を経て35巻で完結した人気漫画。「月刊flowers」で連載されていました。地球に巨大天体が降り、様々な災害に見舞われた未来の地球で目覚めた少年少女たち。必死に生きようとする中で傷つきながらも成長していく冒険の物語。平成18年度(第52回)小学館漫画賞少女向け部門を受賞した話題の人気作品です。ちなみに各章には邦楽の有名な曲と同じタイトルがついていることも。そこらへんも注目!
※作品の感想はこちら

●7SEEDSのあらすじ

『7SEEDS』とは?気になるあらすじに触れて見ましょう。思いっきりネタバレになるので自分で見たい方はご注意を。

-舞台は近未来。巨大な隕石が地球に衝突して人類や地球上の全ての生物が壊滅状態になると予測されました。この最悪の事態を事前に予測していた政府は『7SEEDS』計画という対策を考えていました。

それは選ばれた若者を春のチーム、夏のAチーム、夏のBチーム、秋のチーム、冬のチーム5チームに分けて冷凍保存して未来に残すという方法。選ばれる基準は優秀で健康な若者達。しかし万が一のことも考え優秀ではない者を集め夏のBチームとしました。
7SEEDSとは選ばれた者達を健康なまま冷凍保存し、人間が住めるような環境になったら解凍され子孫を増やし、命を途絶えさせないというプロジェクトだったのです。

7SEEDSには、話に決まった主人公はなく、全ての登場人物が主人公になると言う特徴があります。場面が変わり、敵も仲間も全ての人の視点から物語を見ることが出来ます。チームごとの行動もまったく異なり、それにより、多少物語りが複雑になりますが、そここそが特徴と言えます。次はチームごとのあらすじを見て行きましょう。最後にその後のあらすじがあります。

●夏のBチーム
物語は、平凡な普通の高校生活を送っていた少女ナツがなぜか、荒れ狂う海の上で目を覚ますところから始まります。ナツと同じボートに乗っていたのは、嵐、蝉丸、牡丹の4人で、何とか荒れ狂う海から脱出できたものの、これから知らない他人同士で行動することになるのです。 そして、ここはどこなのか、なぜこんなことになったのか何もわからないまま辿りついた島で見たものは、今までに見たことのないような凶暴な昆虫や動物・・・ 次々に襲いかかる困難に立ち向かって行くのですが、牡丹に誘拐されたのだと勘違いした嵐とナツは逃げ出そうとします。そこでガイドの牡丹に聞いたのは『7SEEDS』の計画のこと。自分達が夏のBチームに選ばれたことを初めて知らされるのです。

●春のチーム
春のチームはすでに島にたどり着き、生活しているところから始まります。、花、ハル、藤子、万作たちが生きるために協力して食べ物や水を探す中で、力ずくで仕切ろうとするガイドの柳に不満が高まっていきます。ある時大量の人食い虫がいる穴に柳が落ちて虫に操られてしまい、花たちは虫に操られた柳についていくと、大量の虫に襲われそうになるのですが、意識のないなか、柳は最後の最後で自分の体に火をつけ花たちを助けるのです。 それから7つの富士を探す旅が始まります。

●冬のチーム
冬のチームは解凍の失敗や凶暴なトラに襲われたのとで、残ったのは新巻鷹弘、吹雪、美鶴の3人。雌阿寒岳のシェルターを目指すも、やはりトラに襲われ、新巻ひとりだけが生き残ることになります。

●秋のチーム
秋のチームは秋ヲ、蘭たちがすでに村を作り生活しています。しかし自分達をこんなところへ送り込んだことを恨み、『7SEEDS』計画など失敗して日本など滅びてしまえばいいと思っています。後に「作られたエリート」夏のAチーム相手に互角以上にわたりあうなど秋ヲや蘭のたくましい一面が役に立つことに…。

●夏のAチーム
夏のAチームは隕石が衝突する前の場面から始まります。 小さい時から未来に行くことを知っていた生徒達。7人に選ばれるために生きるための訓練を積み重ねてきました。安居、涼、茂、小瑠璃たちが17歳になったとき、最終テストが行われるのですが、このテストは先生達が仕掛けた非情な罠で、何十人といる生徒が次々死んでいきます。そして生きているのが7人になったときにテストが終了します。しかし、大切な人たちを犠牲にしてまでなぜ自分たちが生き残り未来に行かなくてはならないのかと思いながら、未来で目覚めることになります。

●過去 龍宮シェルター
そしてまだ隕石が衝突する前のこと。お笑い芸人のマーク、ピート、歌手のマリア達は新しいテーマパーク「竜宮」のオープニングセレモニーの出演として呼ばれました。
たくさんの人がそこで楽しむ中、緊急ニュースで地球に隕石が衝突して全ては水の底へ沈み氷河期が来ることを知らさられるのです。竜宮と呼ばれた場所はシェルターで、やがて地上に人が出られる状態になるまでここで過ごすというプロジェクトだったのです。そのことは一般の人は知らず、マークやマリアは漫才や歌で人々が不安にならないように最後まで嘘をつくという使命で集められたのです。しかし予期しないダニXがあらわれ人々や家畜など感染者が多発し、計画は失敗します。マークたちは、地上でダニXが繁殖しないように、自分たちの命を賭けてこの竜宮を隔離し終わらせるのでした。

そして現在へ…

●その後のあらすじ
花たちはシェルターで見つけた日記でこの悲しい出来事を知ることになります。しかし人が入り込んだことでシェルターは崩れ始めます。花たちは秋のチームと協力して脱出するのですが、目の前に現れたのは夏のAチーム。彼らは自分達の受けた残酷なテストなしに選ばれた花たちを憎み、弾劾、発砲し殺そうとするのでした。
みんなを守るため、花や秋ヲたちは夏のAチームと共同生活をすることになりました。しかし生活をする中で、安居は花の父が夏のAチームの指導者として子供達を殺した教師だった真実を知ります。そしてさらに花に対する憎悪が増した安居。それに呼応した涼。花の命綱は切られ、洞窟の下に落下させられてしまいます。 この事件が原因で安居と涼は共同生活の村から追放され、移動を続けた先で夏のBチームを発見し合流することになるのですが、そこで自分たちがテストを受けたように、ナツや嵐たちにいろいろな罠を仕掛けるのです…。

「航海に出る」という涼の仕組んだ罠に振り回されナツや嵐たち夏のBチームは何度も命の危険にさらされることになります。嵐はそこで海に投げ出され遭難…。そして、立ち往生してしまった彼らの前に謎の船が姿を現します。早速中を探索するのですが、中に入った途端船は縦向きになり、船内でバラバラにはぐれてしまうのでした。そして船内のモニターには24時間以内にミサイルが発射するというカウントダウンの表示…。バラバラになったチームは再び合流することが出来るのでしょうか。また24時間以内に脱出できなければ本当にミサイルは発射してしまうのでしょうか。思わぬ事態に困惑する一同…。そんな中、嵐が生還、過去に悩む安居と涼に「あのテストから逃げると言う選択肢はなかったのか」と問いただします。その言葉が彼らに重くのしかかり、そしてやがて協力して脱出を図るように。今初めて夏のAチームとBチームが協力することになります。こうして一同は命からがら船を脱出することに成功するのでした。

そんな中、安居は自らの口から「花は死んだ」と嵐に告げます。しかし実際は花は生きていたのでした。一人遭難した花は一人でこの世界を見つめ「この世界で生きていく」決意をします。この世界の生き物を見つめ、そして危機を回避する能力も備わった花は以前よりもいっそうたくましくなりました。その後、藤子、ちさ、新巻、あゆ、角又、ひばりと合流。憧れをいだいていた新巻との合流に喜ぶ花ですが、その横には彼を支えるあゆの存在が。複雑な思いをいだきつつ、その他のチームとの合流を目指します。

一方もうひとつの混合チームは新たな局面に。百舌(要)の案内で辿りついた謎の島にたどりついた一向は不思議な出来事に見舞われるのでした。その地は佐渡。過去にそこにシェルターを作った人々によって作られた独自の自然体系。巨大化したアリ、さらに強大な蜘蛛。幻覚を見せるきのこ。そこで幻覚を見た一行は次々と地下のシェルター跡に入り行方不明に。虹子があげたSOSののろしに気付いた、安居と涼、そして嵐が混合チームに合流。消えたメンバーを探しに彼らも地下に。そして花、新巻達のチームも別ルートから佐渡に上陸。一同はここで急接近。ついに花と嵐が会える距離まで近づいたのでした。

一方、夏のAチーム、源五郎が地下施設の中で映像ディスク起動システムを発見。ディスクを再生すると過去の施設長が映像とともに過去の状況を語り出します。なんとここは地上の生態系、技術、そして多くの冷凍保存された子供達を未来に残すために作られた重要なシェルター施設だったのでした。そこの技術員が作ったロボット数台に電源が入り、それぞれが別の場所で通信できるように。ここでようやく花と嵐が未来で初の会話を交わすことになるのです。顔は見えずとも、お互いの無事を確認し、お互いの位置を確認し、そしてお互いの声を確認し、喜ぶ二人。しかしそれも束の間、施設に沈没の危機が訪れます。この危機を回避すべく、秋ヲをリーダーとして全チームが結束。各グループが役割分担してこの危機に臨みます。全員がまだ顔を合わせていないとは言え、全てのチームが終結したこの瞬間、物語は大きく動いたのでした。

そのころ、安居に対して危険な存在であると認識し、単独で百舌(要)を追っていた涼。ついに百舌を見つけ発砲。しかし弾はかすっただけ。ここで安居と嵐が合流。そこで見たのは、はるかな過去に死んだはずの茂たちの死体…。激高した安居、迎え打つ百舌。それをぎりぎりのところで嵐が止めに入り、一時休戦となります。なぜ茂の死体があったのか。そう、ここ佐渡は安居達が幼少をすごしたあの施設があった場所だったのです。

安居は茂をこの暗闇から救うべく、彼の遺体を背負って地上に出ることを決意。過去に生きる百舌はいまだ安居を評価の対象としていますが、涼を中心に各メンバーがこれに反発。自分の必要性に疑問を持った百舌は行方不明のくるみと流星を探すべく単独行動に戻ります。

場面は変わって。角又は佐渡の研究員であり技術を担当していた理可子の残したメッセージを受け取ります。角又は理可子と過去の世界では結婚も意識するほどの恋人同士。しかし年上でプロジェクトの主要人物でもある理可子は、プロジェクトに角又が選定されていることを知っていましたが、当然角又は知らされず、突然の別れにいたるのでした。理可子は自分の子供(そして角又の子)がこの施設に眠っている事や、施設の重要な脱出船「方舟」の注意点を書き残し、そしてその重要なカギである彼女自身の指紋も残していました。

沈没の時間が迫ってきた佐渡。施設は自動で花たちのいる小佐渡を引き離そうと動きます。彼女たちは小佐渡のある方舟に乗って脱出するしか方法は無くなりました。いても立ってもいられず飛び出した花。そこに弓の名手である角又が方舟を開くカギである「指紋」を弓で遠くの花に向け発射。指紋を受け取った花は方舟に向かおうとしますが、水かさが増し閉じ込められた状態に。自分では無理だと判断し指紋を下にいる蝉丸とナツに託します。

方舟に行くには水中に潜ってたどり着かなければなりません。ナツにいきなりキスをし、決意を固め水中に飛び込む蝉丸。しかし流れが邪魔をし進めなくなってしまいました。そこにナツが勇気を出して飛び込み、蝉丸を助けに向かいます。そして、二人で協力することでついに方舟を開放するのでした。

一方戻れなくなった花は絶対絶命。水かさは増すばかり。水かさを制御できるハンドルは嵐や荒巻のいるフロアにあり、さらに足場がない場所で回すことができません。安居達は他の方法を考えますが、荒巻は自分がやるしか無いと判断。決死のジャンプでハンドルに到達。花を救うことに成功しますが、自分は水の中に落ちてしまいます。荒巻は自分の命は花を救うために存在すると信じており、その不吉な決意を感じていた嵐はすぐに荒巻を救出に向かいます。救い出された荒巻でしたが、意気消沈。そこにみんなが話しかけます。あなたのゲームセットはここじゃない。まだやれることがたくさんあると。荒巻は「花のために命をかける」自分の破滅的な生き方を考え直しはじめます。

方舟にたどりついた花たちでしたが入口のドアが閉まらなく、このままでは発進できません。今まで一行を案内してくれたお掃除ロボットのペルセウスは、自分が外で方舟と接続し作動させればドアを閉じられると提案。花がペルセウスと共に外に出て、水クモと闘いながらも接続に成功。ペルセウスとの最後の別れに涙するナツとそれを慰める蝉丸。しかしまたアクシデントが。方舟が天井ハッチにひっかかって上昇しないのです。方舟フロアの操作盤を荒巻が落ちたフロアで見た嵐はそこに戻って操作盤を操作しようとします。嵐はこれは自分の使命だと感じていました。水没がすすむフロアを身体能力を生かして進む嵐。ついに操作盤にたどり着き、無事に天井ハッチを開くことに成功。しかし嵐のフロアは陥落。取り残された嵐は絶対絶命に。

一方、二人で孤立したくるみと流星。くるみはまもなく流星の子を出産しようとしていました。鷭と藤子の遠隔からの声の協力を経て無事出産に成功。しかし、母子を巨大アリが狙っていました。それをいち早く察知した百舌。自分がアリの好物でもある「油」と「血」まみれになり、自分の命をもってしてくるみたちを守ります。自分が生まれてきた目的は未来に子供たちを残すため。「過去の遺物は過去へ還ろう」それは百舌の本望とも言える行動でした。

上昇を続ける方舟でしたが、クモの糸に引っかかり上昇できない状態に。機転を利かして操作レバー見極めたナツの手柄により方舟の操作が可能になり、糸を振り切ることに成功。再び上昇をはじめます。

場面は変わって。茂の遺体があるフロアに戻り、茂の遺体を背負って地上に脱出する安居。そして同行する涼とまつり。ついに茂を地上に、そして未来に還す時が来たのでした。涼は今まで面倒に思っていたまつりを必要に感じはじめます。まつりの思いは伝わったのでした。

地上行きケーブルカーに乗る角又たち、くるみたちと合流した刈田たち、上昇する方舟、全員が同時に地上に向かおうとしています。

絶対絶命だった嵐を救うべく、グライダーで飛びだす小瑠璃。「過去の失敗は二度としない。今度こそ間に合わせる」このために風を読み、ついにそのタイミングが来て彼女は離陸したのでした。自分でも生還をあきらめかけていた嵐でしたが、ついに彼を発見した小瑠璃。嵐をつれて上昇気流に乗ります。間一髪助かった嵐。今度こそ仲間を救った小瑠璃。地上に茂を連れてきた安居。地上まで上昇した方舟。それぞれの思い、それぞれの目的を巻き込んで続々と地上に到達する一行。

そしてついに…

再会した花と嵐。

合流した一行はここを安住の地に決め、ここで生活を営むことを決めるのでした。蝉丸はナツに作家になることをすすめます。ナツの頭にある物語を、この世界にすむ人たちに。そしてここで生まれてくる子供たちに伝えるために。

それぞれの役割を話し合う中、意外なものが海岸に届いていました。手紙入りのビンです。以前に嵐が流したものとは違うその手紙はなんとアメリカから。嵐の手紙を受け取ったアメリカの生き残りチームからのメッセージに驚く一行。なんと、この世界にはまだ生き残りがいたのです。眠ったままの子供を解凍する方法はまだわかりませんし、まだまだ問題は山のようにありますが、外の世界の存在を知り、新しい希望に未来が開けた一行。誰もがすがすがしい顔をしています。この場所で、力を合わせて生きること。それを今、心から実感するナツでした。

おわり。


以上、ついに完結した7SEEDSのあらあすじでした。もっともっとこの作品を読んでいたい気もしますが、この終わり方は読者を裏切らない、納得のものと言えるかもしれませんね。最終回の各チームの笑顔は、初期の頃からは考えられません。それだけ各キャラクターが成長し、距離を縮めたと言うことで、感涙ものの最終回だったと言えます。連載16年。田村由美先生、本当にお疲れ様でした。

ざっくりしたあらすじではありましたが、長文をお読みくださり、ありがとうございました。テンポを重視すべく、いろいろと端折った箇所やキャラがあるため、気になる方は本編を読むことを強くお勧めします。面白さは保証します。【つみれ】