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銀魂 打ち切りとの戦い

銀魂はジャンプで連載中の人気漫画。作者は空知英秋。2006年4月4日に第一期アニメ化。放映されました。2010年、3月にひとまずアニメは終了。その後ベスト的内容の「よりぬき銀魂さん」が放送されましが、これは所謂再放送。 ジャンプのタブーを破るギャグ漫画として爆進中の銀魂ですが、不死鳥のごとく蘇り続け、2011年再度アニメ化に!(タイトルは銀魂'に)。挑戦し続けた内容が災いしてか、原作に追いついてしまったのが問題だったのか、結局アニメは2013年春に急に幕を閉じます。しかし、根強いファンが多く、まるで生きているかのようなキャラ達を忘れられない人は多いでしょう。そしてなんとなんと2015年4月にまた復活!こんなに復活したアニメはないだろうって言うくらいの不死身ぶり。原作では過去編もひと段落し、高杉との対決も描き、まもなく最終回といったタイミングだけにびっくりした人も多いはず。今回は連載当初からその人気にいたるまでの秘密について触れてみましょう。
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●ぶっちゃけ感想
銀魂はジャンプにて連載されている人気漫画。その過激な内容から多くのファンを獲得、人気を維持しています。銀魂はジャンプの中でもとりたてて奇妙なマンガです。キャラ設定や絵のタッチからすれば、とっくにバトル化してもおかしくは無いマンガですが、「核はあくまでギャグ」と言うコンセプトを貫き通しています。しかしもちろんそこはジャンプ。時としてバトル化には走ってはいますが、冴えわたるのはやはりそのギャグセンス。下ネタから危険なパロディネタまで多岐に渡っています。

そんな銀魂ですが、一度連載が終わりかけたことがありました。実は連載当初、その人気は必ずしも高いとは言えず、下がり続ける掲載位置に作者の空知英秋はジャンプ巻末の作者コメントに「頼むから読んで」「だまされたと思って読んでみて」などのコメントを連発。しまいには当時の担当編集だった「大西編集」をネタにからめて言いたい放題。もはややけになったとも呼べるそのコメントは、読者を心配にさせました。むしろそれが作品本体よりも、強烈なインパクトを読者の心に残したのではないでしょうか。

終わる終わると思われていた銀魂。なんとか土俵際で踏ん張り、その作風が読者に浸透していき、じわじわ人気が出てきました。

これは予想になりますが、当時、連載会議で終了候補になっていたにも関わらず、誰かの意思で実験的に続けた背景があったのかもしれません。何故でしょう。銀魂には他の漫画にはない「自由さ」があったからです。素直にジャンプお得意のバトル化していれば、すぐに人気が出たのかも知れない。その選択をしなかったのはジャンプ編集者の誰かが「そのギャグセンスの高さ」に気付いていたからだと考えられます。

誤解を恐れず言わせてもらえば、初期の段階でバトル化に走っていたら打ち切りになっていたでしょう。理由はその絵にあります。味はあるが洗練されてはいないそのタッチは、他にウリがないのにバトル化することで目立たない中途半端な作品になってしまったのではないでしょうか。むしろあの絵は「ギャグ」があるからこそ生きる。手抜きに見える神楽の顔も可愛く見え、新八の地味さが生き、そして手抜き感の無い土方や近藤、桂などのサブキャラが逆に生きる。主人公一味よりもサブキャラの方が絵の力が入っているところを見ても、スタンダードな漫画ではありません。

たまに入るバトル編も、必殺技もほとんど無ければ、銀さんの戦闘力もよくわからず、戦闘シーンも必ずしもうまい描写とは言えません。それでも魅力的に映るのは「ギャグが基本」であるからこそ。「あのゆるすぎるキャラが戦うなんて!」と言った意外さがバトルをも面白くしています。余談ですが一度こち亀の作中で「台詞が多すぎる漫画は読みづらい」と言う漫画界の常識を紹介している回がありました。しかし銀魂はそれら常識を完全無視。しかし、それがまた「味」になる。得てしてこう言うタイプの漫画は、人気さえ出てしまえばすべて「味」で持っていける強みがあります。

人気が出てからも何度も打ち切りや連載終了のような描写がありました。偽銀さんの「金時」と闘った時には「金魂」とバーチャルなタイトルを使ったこともあり、その後(ポーズとして)連載終了、新連載開始のような描写も確信犯的に用いています。ちなみにこの時開始されたのが「まんたま」。金さんを主役に据えた、下品かつありえない恋愛ものでした(笑)。うーむ、ジャンプ、しいては2010年代の漫画界に挑んでるな、空知氏。

復活した銀魂のアニメは2013年春に終了。こと時の終了に関しては物議をかもしだしました。内容も常に攻めの姿勢で、ぎりぎりのパロディ、声優の開き直った演技にも好感が持てただけに残念に感じたファンも多いことでしょう。しかし2015年4月に奇跡の復活。このままクレヨンしんちゃんの用に長期化を画策か…。

そんなわけで「銀魂」。まだ見たことのない人は是非読んでみることをおすすめします。きっと「意見がしっかり分かれる」ことでしょうから。ハマったあなたはきっと抜け出せません(笑) こちらでは銀魂のアニメでの挑戦について書いています(でんすけ)