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映画 十三人の刺客 感想

映画「十三人の刺客」は2010年9月25日公開の映画です。監督は三池崇史、プロデューサーはジェレミー・トーマス。キャストは役所広司、山田孝之、稲垣五郎、市村正規、松本幸四郎さんなどです。元々は1963年に封切られた日本映画、時代劇の名作。今回は豪華キャストでリメイクと言うことで期待がかかっています。それでは映画「十三人の刺客」について、率直な感想を書いてみたいと思います。

本作は2010年9月25日公開の映画ですが、1963年に封切られた時代劇映画が元になっています。原作のクライマックスの13人対53騎の殺陣シーンは当時時代劇映画史上最長とされ、いまだ名作と名高い映画ですが今回はどんな風にリメイクされているのでしょうか。まずは気になるあらすじから。

■あらすじ
江戸時代の末期、史上最強(凶)と恐れられた暴君、松平 斉韶(まつだいら なりつぐ)がいた。彼の異常性格と暴虐ぶりは幕府内でも有名であり、家老の間宮はその暴君ぶりを訴えるべく、老中、土井家の門前で切腹自殺した。しかし、こともあろうに将軍は斉韶を老中に抜擢しようとする。このままでは幕府はもとよりこの国も駄目になると判断した老中土井は、暴君斉韶の密かなる排除を決意する。その命を受けた旗本島田新左衛門は13人の暗殺部隊を編成した。そして、対決の日はやってきた。参勤交代からの帰国途上の松平斉韶を中山道落合宿で待ち構え、襲撃を開始する…!

以上が主なあらすじです。忠臣蔵にも通じる「結託して悪を討つ」と言う時代劇では王道のパターン。これを三池監督はどう料理するのか。期待を持って見てみました。

■率直な感想
まず感じるたのは、コントラストの濃さでしょう。具体的には薄味の映画では無く、とことん濃い味。劇画の色の強い作品。カット割り、演技、CG、セリフにいたるまでパッキリと主張の強い仕上がりです。「微妙な面白さなどいらない。とことん痛快に、怪しく、とことんやりつくす」と言う三池監督の意志が伝わってきます。特に戦闘シーンの派手さは特筆もの。なにしろ映画の大半が血が飛び交う戦闘シーンですから、映画自体とても迫力のあるものになっています。13人対300人、50分の戦闘シーンを売りにするだけあって、やはり戦闘シーンが一番の魅力でしょう。

後半50分あるアクションシーン(時代劇史上最長!)には思わず興奮してしまいました。そこにあったのは斉韶(なりつぐ 読みづらっ!)への憎悪が噴出したものなので、当然そこにいたるまでの描写も視聴者を感情移入させる必要があります。前半から稲垣吾郎さん演じる狂気の斉韶をこれでもかと作り上げていたのは、その「後半の痛快さ」に向けてのものでしょう。

キャストはベテランに支えられ、安定感がありました。特に、役所さんは単なるスプラッター映画にならないように細心の注意を払って演技をしていたと思います。山田孝之さんをはじめ、周りを固める伊勢谷友介さん(最近時代劇が様になってきました。)、古田新太さんも役に合った演技を見せていました。しかーし、しかし、この映画の影の主役はなんといっても稲垣吾郎!!!

彼は本当にジャニーズかと言うほどの怪演を見せ、前半から狂気、鬼畜の洪水。狂った変態ぶりを発揮し、終始怪しい光で「十三人の刺客」を包み込んでいました。うーん、多少乱暴でも必要な描写でしょう。本人も「今までこんなひどい役をやったことは無い」ともらすほど。ゴローちゃん、よくやってくれた。ジャニーさん、この仕事をよく受けてくれた(笑)。三池監督は「トップアイドルの彼だけに見える世界があるはずだ」と、彼の役者の才能を高く評価していたそうです。

あえて苦言を言えばオリジナルにあった風情はかなり無くなってはいるのが残念です。しかし今の時代に合った味付けであると思えないこともありません。難しいことはいいから、とにかく非現実を味わいたい!!と言う方にはおすすめの映画です。あと、ゴローちゃんファンにもおすすめです。【でんすけ】