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映画 ヒアアフター 感想
ヒアアフターは日本では2011年公開された映画。クリント・イーストウッド監督、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮の話題作。死と生をめぐる感動的なストーリーが売りのヒューマン・ドラマ。主演はマット・デイモン。他にはセシル・ドゥ・フランスやジョージ、フランキー・マクラレン兄弟が注目です。上演時間は129分。今回は評判が気になるヒア・アフターを追ってみました。
物語は主に、死を目の前で体験した3人の人物にスポットを当てています。彼らがいろいろな壁にぶつかり、それでも限りある「生」を見つめ歩んでいく姿を描いていくというもの。今回出てくる双子の兄弟はオーディションで選ばれたのですが、ほぼ演技経験無し。決め手は「大人に左右されないリアルな子供の演技」が出来るだろうと言うこと。子役ベテランには手を出さないあたりにこだわりが見えます。イーストウッド監督のメッセージは、「人生は贈り物。精一杯生きる」と言うものです。80歳を過ぎたイーストウッド監督自身がきっとそうして生きてきたのでしょう。まずはそのあらすじに迫ってみたいと思います。
■あらすじ
霊能力者としての才能を持ちながらも、その才能にふたをして、ささやかに生きているアメリカ人、ジョージ(マット・デイモン)。隠していた自分の能力が原因で、料理学校で知り合い、好意を寄せていたメラニーも、彼の前から去ってゆく。やがて彼は意図せずして様々な出来ごとに巻き込まれていく…。パリで活躍するマリー(セシル・ドゥ・フランス)はジャーナリスト。恋人と共にバカンスを楽しもうと東南アジアにやってきたのだが、津波に遭遇。死を目前にして何とか一命を取り留めた。しかし、帰国した後も、度々呼吸が止まり、不思議なビジョンを見ることに。仕事が手につかなくなってしまう。マリーは、自分が見たビジョンの正体を知るため、調査を開始。 ロンドンには母親、双子の兄と暮らすマーカス(ジョージ・マクラレン/フランキー・マクラレン)がいた。、しかし、その家族の絆も一瞬で奪われてしまう。突然の交通事故で兄を亡くしてしまったのだ。どうしてももう一度兄と話したいと願うマーカスは霊能者めぐりを始めるが、本物の霊能力者には出会えない。そんな彼は、偶然ジョージの昔のウェブサイトに行き当たるのだった。複雑に絡み合う3人の人生。そこに待ち受けるドラマとは…。
■率直な感想
あらすじを見るとものすごく面白そうな話です。実際見てみると、まず最初に感じたのが、イーストウッド節が炸裂しているなと言う印象。そこはあとで書くとします。意外な点と言えば彼が普段あまり使わないCGを駆使して津波を演出していること。このシーンはとても迫力があり、この映画のハイライトの一つと言ってもいいシーン。双子の兄弟は好印象で、わざとらしくない演技がリアルさを醸し出していてとても良かった。
でもね、この映画のテーマは「生と死。そしてどう生きるか」なので、上に書いたディティール面での評価は大したことではないのかもしれません。で、その肝心のテーマはどう描かれているかと言うと…。
結構難解。最初に書いたイーストウッド節とは、「テーマを説明したり語ることを極力避け、見る者の判断にゆだねる」と言った特徴のことです。今回も説明やセリフに、テーマの答えがちりばめてあったような気はしますが、やはり多くを語らない映画でありました。いろんな手法でそのテーマを伝えてくれてますが、乱暴にまとめると、「与えられた生に感謝し、生きることをかみしめろ。死にばかり目を向けた人生ではなくこの人生を、ポジティブに生きるんだ」と言うことです。伝え方が複雑なため、人によってはついて行けないこともあるでしょう。自分はその静かな手法が結構好きでしたが。津波のシーンに惑わされ、エンターテイメント性を期待しても肩透かしをくらうかも。大人にこそ良い映画と言えるかもしれません。音楽は文句なく最高でした。【でんすけ】