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映画 ノルウェイの森 感想

ノルウェイの森は2010年12月11日公開の映画です。 原作はベストセラーとなった村上春樹の「ノルウェイの森」で、監督はトラン・アン・ユンです。主演は松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子さんなどです。また映画音楽はレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが手がけているようで、作品にどのようなスパイスを効かせてくれるのかも気になります。今回は「ノルウェイの森」について率直な感想を書いてみたいと思います。

1987年に刊行されてベストセラーとなった村上春樹の「ノルウェイの森」は主人公の喪失と再生を描いた究極の恋愛物語として話題とった作品。時代までも動かしたと言われるこの作品は、36言語に翻訳され現在でも読み継がれています。そんな「ノルウェイの森」が出版から20年以上の時を経てついに映画化を果たしました。監督は「夏至」などの作品を手がけ叙情性溢れる映像美で人間の機微を静かに温かく描くことで定評のあるトラン・アン・ユン。主人公のワタナベには松山ケンイチ、直子は菊地凛子が演じます。原作がどのように映像化されているのか評価も気になりますが、まずはあらすじからたどってみましょう。

■あらすじ
37歳になったワタナベは、ドイツ行きの機内でビートルズの「ノルウェイの森」を耳にし、18年前に自分が恋に落ちた直子のことを思い出します…。

直子はワタナベの高校時代の親友・キズキの恋人でした。ワタナベにとってキズキは唯一の友だったので、必然的にワタナベと直子も一緒によく遊んでいたのです。ところが、ある日突然キズキは誰にも何も言わずに自殺をしてしまいます。

親友を喪ったワタナベは、誰も知っている人間がいないところで新しい生活を始めるために東京の大学に行きます。そして、あるとき中央線で直子と偶然再会するのです。それからワタナベと直子はお互いに大切なものを喪った者同士付き合いを深めていくのですが、付き合いを深めれば深めるほど直子の方の喪失感はより深く大きなものになっていったのです。そして、20歳になった直子は結局京都の病院に入院することになってしまいます。そんな折にワタナベは大学で「春を迎えて世界に飛び出したばかりの小動物」のように瑞々しい女の子・緑と出会うのです…。

■率直な感想
以上が簡単なあらすじです。もうおなじみの人も多いかもしれませんね。率直な感想にいっていみましょう。

まず、小説と比べてほぼその世界観を再現していると思いました。限られた時間での表現になりますから、はぶかれたエピソードもいくつかは ありましたが、全体を通してそれが気にはなりませんでした。 ストーリーも原作ファンには納得いくところでしょう。主演の松山ケンイチが村上作品の「あいまいなカラー」をうまく表現していましたし、菊地凛子も村上春樹が描く「いやらしさと女性らしさが混ざった性」をうまく表現していたと思います。

ただ、小説では受け入れられたこれらの表現が映画になってしまうと「作りもの感」が出てしまう部分も。小節を読んで「想像していた部分」も大事だったんだなと個人的には思いました。

性表現は人によってかなり分かれるところでしょう。自分は「性表現においては小説のままのほうが美しかった」と感じました。主人公ワタナベの心境描写の複雑さも、フランス映画のようにさらっと流せていれば見やすいのですが、そこに疑問を持って見てしまうと、最後まで謎が解けないままです。

この映画を理解するためには、やはり小説を読んでから見たほうがいいのかな。 一方、理解できなくてもいいからなんとなく「村上世界」に触れたい方には良いきっかけになる映画でしょう。最初にも書きましたが、原作の世界観は忠実に再現していましたから。【でんすけ】