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映画 借りぐらしのアリエッティ 感想
映画「借りぐらしのアリエッティ」は2010年7月17日公開の映画です。監督は米林宏昌。起用されたのはプロデューサーの鈴木敏夫の提案であるとのこと。声の出演は志田未来、神木隆之介、樹木希林、藤原竜也など。ジブリの作品はファンも多く、今更な気もしますが、今回はあえてとりあげてみました。「様々な評価」が気になるスタジオジブリ「借りぐらしのアリエッティ」。率直な感想を書いてみたいと思います。
本作はメアリー・ノートン「床下の小人たち」が原案となっています。舞台を日本に置き換えて小人の少女と人間の少年の交流を描いた作品です。
宮崎駿が企画担当、そして「崖の上のポニョ」で原画を担当した米林宏昌は本作が初監督となりました。毎回ジブリの作品は誰もが期待に胸を膨らませることでしょう。評価が気になる作品ですが、まずはあらすじから見てみましょう。
■あらすじ
荒れた庭のある大きな古い屋敷の床下に、アリエッティと父ポッド、母ホミリーの3人家族は静かに暮らしていた。屋敷には主人の貞子、お手伝いのハルの2人の夫人が住んでいる。アリエッティたち小人は人間に気付かれないように少しずつ、食べ物や石鹸など必要な分だけ借りてくる“借りぐらし”で成り立っていた。
ある夏の日、12歳の少年、翔が病気の療養をするためにやってくる。小人には人間に姿を見られたら引越しをしなければならないという掟があったのだが、アリエッティは翔に姿を見られてしまう。父ポッドは家族が危険にさらされるかもしれないとアリエッティを説得するも、アリエッティは次第に翔に近づいていくのであった。
そしてある日、大きな事件がアリエッティと家族に迫ろうとしていた。
■率直な感想
実際に見てまず持ったのが、「無難にまとまっている」と言った感想。これはネガティブな感想ではありません。ゲド戦記で見られたように、世界を広げすぎて収集のつかなくなってしまうような事はありませんでした。あくまでも「箱庭の中での冒険」として世界をまとめています。
主人公のアリエッティは今までのジブリのキャラクターに流れるヒロイン像をしっかりと受け継いでいました。好奇心旺盛で勝気。でも女らしく、凛々しい。誰にでも好かれ、誰もが憧れる女の子。言ってみればナウシカ+千尋のような、強さと頼りなさを足したような存在です。
個人的に好きだったキャラクターはスピラー。声優の藤原竜也に大分助けられてる気もしますが、かなり良いキャラです。やぼったいルックスで不器用な強さと優しさを持っているスピラー。ただ一人の小人仲間であるのにちょっとしか登場しないので、見た人に「もっとスピラーについて知りたい!」と思わせることに成功しています。何よりよかったのが、米林宏昌のオリジナルキャラと言った印象が強かったこと。アリエッティとの絡み方も意外に薄く、今までのジブリ作品にはあまりいないタイプでしたから。
キャラとしてもうすこしだったのが翔。彼には「体は弱いけれど、心は強いキャラ」として成り立って欲しかったのですが、ちょっとセリフが説明的過ぎたかな。アリエッティの箱庭世界ではもう少し直感で動いてくれた方がダイナミックで面白かったのかも。物語がどこか小粒で終わっていたのは彼の性格もあったでしょう。アリエッティとともすれば恋人同士のような雰囲気を作り出していたのは良かったのかも。良いスパイスになっていました。
ストーリー全体としては、ジブリの作品に恥じない世界観と魅力を持っています。米林宏昌監督は宮崎駿以外では誰も作りえなかった「宮崎ジブリ」の世界を体現したという点で評価できる作品でしょう。ちょっと意地悪に言えば「宮崎ジブリらしさからはみ出ることを恐れている」ようにも思えたかな。もうちょっと米林監督らしさを出してくれれば良かったのですが、失敗すれば「駄作」の刻印を押されてしまうので、それは酷な注文かもしれませね。
特筆すべきは「わかりやすい悪役」が出ていること。ハルさんがそれにあたります。近年のジブリ作品にはわかりやすい悪役が登場しないのが特徴でしたので、ここは新鮮に映りました。ウィキペティアによれば「かつて小人を見たが、それを誰にも信じてもらえなかった悔しさを晴らすため」 となっていることから、完全な悪役では無いのでしょうね。
結局ラピュタの「ムスカ」くらいかな、ヒールに徹していたのは。勧善懲悪が良いとは思いませんが、あれくらい人間がすさんだキャラを出してくれたほうが物語が締まる気がするんですが。このあたりは宮崎さんはもうしないと思うので、米林監督には期待したいところです。
主題歌はセシル・コルベルによる主題歌「Kari-gurashi~借りぐらし~」は物語には合っていましたが、ちょっと謎めき過ぎていた感も。最後にカオスにつつまれるあの感覚…。音楽は北欧的ですが、物語は日本的なので、ちぐはぐな印象もありました。良い曲なんですが、からめ方がちょっともったいないかな。ハウルあたりと比べるとここは宮崎監督の方が何枚か上手ですね。
全体を通しての感想。
見終わった後にはすっきりした感動があります。ややあっさり終わる感もありますが、もっと見たいと思わせるくらいでいいのかも。「スタジオジブリ」の新しい才能を感じるには十分な作品でした。【でんすけ】