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映画 フラクタル 感想

『フラクタル』は、「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」などを手がけた山本宏監督の初オリジナル作品。 シリーズ構成には「黒執事Ⅱ」の岡田磨里、ストーリー原案に三島由紀夫賞作家の東浩紀、アニメーション製作にAー1 Pictures。山本監督は アニメについてはずいぶん悩み「もうアニメは駄目かもしれない」と思ったこともあったそう。しかし、今のみなさんに伝えるべきものがきっとある、監督の自分の言葉で伝えなければならないことがあると信じ、もう一度だけアニメを作ろうと決意をしたと、当時報道されました。「これが失敗すれば引退も辞さない。覚悟はもうできています」などとメッセージを公表していたことも話題に。 この作品を放送したノイタミナとはフジテレビの深夜アニメ放送枠のことで、アニメーション「Animation」を逆さ読みしたものです。アニメの常識を覆したいという想いからつけられているとのことで、大人にも楽しめる内容のアニメも多くあります。2005年5月から「ノイタミナ」がスタート24:45~25:45の1時間枠・2部制で放送しており、週2本の放送体制となっています。代表作品には「ハチミツとクローバー」や「のだめカンタービレ」「東のエデン」など。2011年1月には『フラクタル』が放送開始。

■あらすじ
“終われない世界”に立ち向かう決意をした 退廃した未来を舞台に出会った少年「クレイン」と少女「フリュネ」の活躍を描いた冒険ファンタジーフラクタル。世界を管理する“フラクタル・システム”が完成し、人類は史上初めて、もはや働かなくても生きていくことができる圧倒的な楽園に足を踏み入れました。 それから千年。システムはいまだに生き残り動き続けていたが、もはや誰もそのシステムを解析できませんでした。多くの人々が、その維持こそが、人類の幸せの条件だと信じて疑わなかったのです。

物語は、そんな「フラクタル」が崩壊し始めた、ある大陸の片隅の島で始まります。

少年・クレインは、ある日何者かに追われ崖の下に転落した少女・フリュネを助け、少女との出会いに心躍らせるクレイン。しかしフリュネはブローチを残しクレインの前から姿を消してしまいます。ブローチにはデータが残されており、データの中に閉じ込められていた少女の姿をしたアバター、ネッサとともにフリュネを探し旅にでるクレイン。そこで彼は“システム”の秘密を知ることになります。

■率直な感想
鳴り物入りで放送されたフラクタル。しかし実際はそう話題になることはありませんでした。というのも、同時期のアニメに話題作「魔法少女まどかマギカ」があり、話題をそちらにすべて持って行かれたと言っても過言ではありません。

内容も設定をこだわったわりにはそれらを説明しきれておらず、肝心のフラクタルシステムも敵の黒幕なのか、実は必要な悪だったのか、うまく消化できていません。これらの設定は作品の核だと思うのですが、核がぼやけてしまった物語は得てして締まらないと言われており、今作「フラクタル」も例外ではありませんでした。

キャラクターに魅力があっただけに彼らを生かしきれなかったのは残念です。おまけにこの作品は原案の東浩紀がツイッター等で放送当時から様々な苦言を呈しており、こちらは当時大きく盛り上がっていたように感じます。放送時期が震災の時期ともちょうどかさなり、放送当時はかなりカオスな状態だったなあ…。幸福なスタッフから生まれた不遇な作品。それが「フラクタル」なのかもしれませんね。