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映画 鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星 感想
映画「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」は2011年7月2日公開の映画です。
監督は 村田和也。声の出演は、
朴ロ美、釘宮理恵、高本めぐみ、三木眞一郎、折笠富美子、内海賢二、坂本真綾、森川智之などです。コミック、TVアニメなどで大ヒットしている「鋼の錬金術師」の劇場版第二弾。完全オリジナルストーリーということですが、果たしてどんな作品になっているのでしょうか。今回は映画「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」について率直な感想を書いてみたいと思います。
原作は荒川弘原作のミックで、2001年7月~10年6月まで「少年ガンガン」に連載されていました。03年と09年の2度にわたってTVアニメ化されており、国内はもちろん、国外でも絶大な人気を誇る大ヒットシリーズと言っても良いでしょう。今回の「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」は、劇場版第2弾となる作品になります。監督は「コードギアス 反逆のルルーシュ」シリーズだで副監督を務めていた、村田和也。キャラクターデザイン・総作画監督は「東京ゴッドファーザーズ」の小西賢一、さらに脚本は「ホワイトアウト」などで知られる小説家、真保裕一などが担しています。ストーリーとしては、これまで原作ではほとんど言及されてこなかったアメストリスの西、大国クレタとの国境沿いを舞台にした、完全オリジナルストーリーということです。オリジナルストーリーというと、賛否両論ありそうですが、一体どんな評価になっているのでしょうか。初めに簡単なあらすじから書いてみたいと思います。
■あらすじ
アメストリスの首都セントラルにある中央刑務所。そこでひとりの囚人が刑期終了を間近に控え、この刑務所から脱獄した。その男の名は、メルビン・ボイジャー。一方、少年ながらすぐれた錬金術の腕を持つエドワード・エルリック、そして弟のアルフォンスは彼が操る強力な錬金術に興味を惹かれ、その男の跡を追ってアメストリスの西、大国・クレタとの国境を目指すことにした。そして、彼らがたどり着いた場所は、驚くほど巨大な崖に周りを囲まれた、テーブルシティと呼ばれる街だった。エルリック兄弟がひかれるように入り込んだこの地はかつて“ミロス”と呼ばれていたようだ。そこで、ふたりはジュリア・クライトンという不思議な少女に出会う。彼女の言葉に導かれ、エドワードたちはこの地に隠された血塗られた歴史を知ることになるのだった。舞台は本編の途中の別話。はたしてどんな物語が繰り広げられるのだろうか…!?
■率直な感想
原作のファンからすると、まず舞台設定から混乱してしまいます。どうやら本編のスピンオフ的作品のよう。アルがまだ鎧の姿なので本編の後日談と言う訳では無さそうです。
最初の肝はまずこのパラレルワールドに入り込めるかどうかにかかっているでしょう。自分は少々違和感がありましたが、入り込めるのに時間はかかりませんでした。むう、どうやら原作に対する気持ちはいったん封印してフラットに見てみた方が良さそうだ。
で、2時間ばかし集中して見てみました。
まず思ったのが、完全に別物エンターテイメントを目指していたと言うこと。「完全にオリジナルなアニメ作品ではリスクが多すぎる。なのでハガレンの世界観の中でオリジナルアニメを作れば固定ファンが見るためリスクが少ないのではないか」と言った意図でしょうか。全体として派手なエンターテイメントとしてなりたってはいましたが、その分キャラひとりひとりの印象はやや薄かったかな。
一応エルリック兄弟は原作のキャラを踏襲しています。錬金術を使った派手なアクションも今作最大の目玉でしょう。しかし、他の原作レギュラーキャラはちょっと残念な扱いだったような気がします。なんと言いますか影が薄い…。ブラッドレイはじめホムンクルスが個人的に好きだっただけに残念でした。
それと気づいたところがもうひとつ。絵がなんだかおかしいのです。ふにゃふにゃと言いますか。アニメシリーズのフラットで綺麗な絵柄とは一線を画していますが、手抜きでこうなったわけでは無いでしょう。おそらくわざと違うテイストを打ち出したのではないでしょうか。ゲームのぜルダの伝説シリーズが急に絵本テイストになったように、意図した芸術性を盛り込んだ結果だと思います。しかし、変えるなら分かりやすく大胆に変えてほしかったかな。そうでなければ「これは別物のあらたなハガレン世界だ」と言う思いは伝わりづらいでしょう。
いろいろ書きましたが、可もなく不可も無くな作品です。本編に影響する描写ではないため、原作ファンがマストで見る作品でもありません。むしろ、ハガレンの事を何も知らない人が見たほうが単純に楽しめそうな気がします。
ああ、結局原作への愛を消して見ることはできなかったなあ…(笑)【でんすけ】