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大河ドラマ 平清盛 感想

ドラマ「平清盛」は2012年1月8日から放送されたNHK大河ドラマで、大河ドラマとしては第51作目の作品になります。主演は「松山ケンイチ」。語り部には源頼朝役の岡田将生が担当。若い力による新しい「清盛」が描かれるのではと注目されました。震災後の東北でロケが始まったこや、今までとは一線を画すクールな演出など何かと話題が尽きない今作。今回はそんな「大河ドラマ 平清盛」のぶったぎり感想を書いてみたいと思います。

■平清盛
大河ドラマとしては2005年以来描かれていなかった「平安時代」を描いた今作。司馬遼太郎などに代表される有名歴史小説が原作では無く、オリジナルストーリーとして平清盛が描かれています。主演は松山ケンイチ、語り部は源頼朝役の岡田将生が担当。ちなみに岡田将生はNHK大河の語り部としては最年少。音楽は吉松隆が担当しています。初回視聴率は17.3%を記録し、大河ドラマで初回視聴率が20%を下回ったのは、19.8%を記録した功名が辻以来と、やや厳しいスタートとなりました。その後の視聴率も伸び悩み、大河史上でもワーストから数えた方が早い低視聴率を記録。しかし、内容の方は骨太であり、媚びていないことが評価される場面も。

■率直な感想
最初に今度の大河ドラマが「清盛」が主人公であると聞いた時、不安が頭をよぎりました。「き、清盛!??どこを描くんだ」と。一般的に源氏と平氏の戦いは清盛が病死したあとの「壇ノ浦の戦い」が見所であり、義経や頼朝を主人公として描くことが多いからです。大河になりやすい主人公では「武田信玄」「織田信長」も大事な時に死んだ大物。彼らのようなものだと思えば良いのか…。

配役についても、いくつか不安がありました。主演の松山ケンイチは面白いなと思いましたが、語り部は岡田将生では重みが無いのでは…。大河は他のTVドラマとは違います。流行りの俳優を出せばいいと言うものではありません。まして語り部は作品のイメージを決定づける大事な要素。大丈夫か「平清盛」…!?

そんなわけで不安いっぱいに見た第一話と第二話。 「うん??お??こりゃなかなかに面白いではないか!?

見る前は不安いっぱいだったので、そのギャップもありますが、なかなかに引き込まれる展開。松ケンは予想通り影のある正直者をうまく演じてくれましたし、脇を固めるキャストもなかなか。悪の怪物、白川天皇(伊藤四朗)、絶対に重要な役だろって感じの鳥羽天皇(三上博史)。明らかにただものじゃなさそうな高階通憲(阿部サダヲ)。どれもくせ者揃いで良いですね。まあ、白川天皇は第2話には死んでしまいますが。

演出面でも今までの大河とは一線を画す実験が。真っ黒な背景に重要な文字を描いた画面をところどころ挟むなど、ショートムービーのような演出が印象的でした。銀河鉄道の夜のアニメ映画(猫のやつ)もこんな感じだったな。っと、関係ないですね。すいません。

「少し緑がかったフィルムのような映像」は二つ前の大河ドラマ「龍馬伝」と同じ質感ですね。龍馬伝のころは地デジ普及に向けかなり実験してたはず。あれが思いのほか好評だったようです。

そんなわけで良い意味で期待を裏切られた清盛。肝心の語り部、「岡田将生」はどうだったのでしょうか。これも率直に言えば、思っていたより良かったです。 今までの大河の語り部と比べると若さや頼りなさはありますが、その分クリアで清潔感のある語りは、「新しい大河」を感じるのは十分なものでした。思ったより滑舌も良く聞きやすかったのも好印象。「すべて終わった後に、すっきりと開き直って振り返る」ような軽めのトーンは賛否の分かれるところでしょうか。

子供時代の清盛と大人になった後の清盛の性格にまったく一貫性が無いなど、ストーリー自体にはやや強引さがあったかな。まあ、この辺は大河ではいつものことですが。ちなみに、子供時代の清盛を演じた子役は松ケンそっくりな顔でした。どこから見つけて来たんだ(笑)。

最初から地味な印象のあった主人公、清盛ですが、最後までそれは変わることはありませんでした。それもそのはず、この時代の主人公になりえるのは義経、頼朝であり、平家はあくまで大ボス的な存在。そちらにスポットを当てた以上、こうなるのはわかっていたはず。それでもダースベイダー的な面白さはあったかと思います。

今回特に評価できる点はズバリ「松ケンの老けメイク」。前作の「江」ではまったく歳をとらない上野樹里と向井理に多数のつっこみが入ったと言います。それに比べて松ケンの清盛は老人そのものに見える気合いの入りよう。この点では松ケンの役者魂と、大河スタッフの「良い物をつくろう」と言う気合いの入り方を感じました。深キョンはそのままでしたが…

肝心のストーリーの方もまずまずの出来だったかと思います。最初は皇家のドロドロ劇を描き、中盤で青春&サクセスストーリーを展開、そして後半では狂って行く平家一門を描いていきました。女性を無視したような骨太のストーリーはむしろ近年の大河の中でもしっかりしている方でよかったと思います。特に重盛のくだりは、見ているものを切なくさせました。狂った集団の中にいるまともな人間はこうも苦労するのかと…。

一方で痛快さと言う面ではいま一歩だった感はいなめません。源氏側だったら大逆転劇だったのですが、平家はやっぱり悪役で映えるタイプだもんなぁ。そうは行きませんでした。義経をもう少しフィーチャーして、義仲くらいまではしっかり描いてほしかったかな。最後は駆け足で展開し、いつのまにか清盛が瀕死と言った状態ですので、見ている方は「もう終わりなの!?」と思ってしまいます。

とは言え見ごたえのある作品だったのは確か。視聴率が低かったのは残念ですが、総集編でも良いので見る価値はあるでしょう。女性ファンの共感は得られないかもしれませんがw【でんすけ】