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映画 ラスト・ターゲット(Last Target) 感想
映画「ラスト・ターゲット」は2011年7月2日公開の映画です。監督はアントン・コービン。出演は、ジョージ・クルーニー、ヴィオランテ・プラシド、テクラ・リューテン、パオロ・ボナチェリ、ヨハン・レイゼン、イリーナ・ビョークランドなどです。陽気なキャラクターのイメージが強いジョージ・クルーニーが、孤独なスナイパーを演じるということですが、一体どんな作品になっているのでしょうか。今回は映画「ラスト・ターゲット」について率直な感想を書いてみたいと思います 。
本作は英国人作家マーティン・ブースの「暗闇の蝶」をアントン・コービン監督が映画化したものです。友人を作らない、孤独なスナイパーが裏社会からの引退を決意する姿が描かれています。主役が孤独なスナイパーということなので、物語のほとんどは、追っ手から逃れて潜伏しているというシーン。なので、登場人物もほんのわずかしか出てきません。またタイトルのイメージと違って、それぞれのキャラクターがきちんと描かれており、なおかつ派手な撃ち合いもほとんどないので登場人物の心の変化もわかりやすいのではないでしょうか。監督のアントン・コービンは、U2やニルヴァーナなどのPVを手がけた後、ジョイ・ディヴィジョンのボーカル、イアン・カーティスの生涯を描いた作品「コントロール」で監督デビューした気鋭の監督。この「ラスト・ターゲット」が長編2作目となる作品ですが、一体どんな評価になっているのでしょうか。まずは簡単なあらすじから書いてみたいと思います。
■あらすじ
スウェーデン、ダラルナ。ジャックは暗殺を生業として生きている。ある日、雪原を連れの女と歩いているところを攻撃される。一瞬の間にスナイパーを返り討ちにし、一緒にいた女も返り討ちにした。もしかしたら初めから彼女も敵の一味だったのではと疑惑を抱きながら、彼は雪原を後にする…。
イタリア、ローマ。ジャックは組織の連絡係、パヴェルと接触する。身を隠して連絡を待てと指示を受ける。ジャックは、カステル・デル・モンテでアメリカ人カメラマンとして、小さな部屋に身を落ちつけた。そこは、城塞都市の名残が残る町でもある。その日から体力を維持するための室内トレーニングと双眼鏡を使って屋外観察することが彼の日課となり、食事に招待してくれたベネデット神父と知り合う。
ある日ジャックは、パヴェルから潜伏中の仕事として狙撃ライフルの制作を依頼される。彼はマチルダという若い女に会い、彼女から減音器付き狙撃ライフルの仕様説明を受け、早速制作に取りかかる。銃身部は郵送で取り寄せ、足りない部品はベネデット神父の息子が営む怪しげなガレージを訪ねて譲り受けた。だが組み立て作業もほぼ終わったある晩、ジャックはふと立ち寄ったカフェの主人から一通の封筒を受け取る。中に入っていたのは、スウェーデンのあの記事の切り抜きだ。そんな中、ジャックはなじみの若い娘クララと昼間のカフェで偶然出会った。
宿の室内では暗くて気づかなかったが、しだいに彼女の明るくて美しい表情に魅かれていった。その後も逢瀬を重ねるうちに彼はこれまでの孤独な人生では知ることのなかった悦びを感じ、クララと共に生きることを決意する。そして今回依頼されたライフルの制作を最後の仕事としてこの世界から足を洗うことをパヴェルに告げる。ジャックは特製スーツケースに仕込んだ狙撃ライフルと弾丸を街道沿いの食堂で、マチルダに引き渡した。最後の仕事を無事に済ませたジャックは大金の支払いを受け、クララが待つ“聖体行列”見物に向かって行く。しかしそこでは思いもよらぬ運命がジャックを待ち受けていたのだ…。
■率直な感想
いつもの明るいクルーニーを封印。今作ではとことんストイックな役を演じています。登場人物も少なく、作品全体が静かに迫りくる曇り空の様なテイスト。製作費もそれほど高くない様子。それでもひきつけられる何かがありました。
最初はアクションシーンこそありましたが、その後は淡々とした心情描写。徐々にジャックの心が変わっていく様子を丁寧に描いています。ハリウッドのエンターテイメント作品では決して無く、どちらかと言うと、日本の単館映画やイタリア映画に近いかも。出てくる人物を疑わざる追えない展開はサスペンスとしても見ごたえがありました。
映画館でスカッとしたい人にはおすすめしません。じっくりと腰を据えてハラハラする感じを味わいたい大人向けの映画。
背徳感のある主人公ジャックが聖なる心の芽生えるといった感じでは無く、「より人間らしく生きる生き方」を選ぼうとする感じ。その行動の動機がいまいち分かりづらかったのが残念です。もし日本版があるとしたら…堤真一にお願いしたいかな(爆)【でんすけ】