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映画 大鹿村騒動記 感想

映画「大鹿村騒動記」は2011年7月16日公開の映画です。監督は阪本順治。出演は原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、佐藤浩市、松たか子、瑛太、三國連太郎、冨浦智嗣、小倉一郎、でんでん、加藤虎ノ介、小野武彦などです。芸能の原点を守ってきた人々の姿を描いた群像劇ということですが一体どんな作品になっているのでしょうか。原田さんにとっては最後の映画。今回は映画「大鹿村騒動記」について率直な感想を書いてみたいと思います。

本作は長野県の山麓地帯にある大鹿村が舞台になっています。300年以上受け継がれてきた村歌舞伎を背景に、日本映画界が誇る名俳優たによる人間味あふれる群像喜劇が繰り広げられる作品。

原田芳雄さんは公開後、2011年7月19日に亡くなられました。71才でした。腸閉塞とのこと。病気と闘いながらの撮影で、舞台挨拶に車いす姿で現れ、皆さんに感動を与えました。とても残念ですが、それだけに「最後の映画」として注目されています。

監督を務めたのは阪本順治で、出演者も阪本作品の常連俳優たち多く出演しているようです。 また、主演を務めた原田芳雄さんとは今までに6本の作品を作りあげてきたとのことで。 原田芳雄さんと岸部一徳の掛け合いはなかなか面白く、注目して欲しいところのひとつでもあります。企画を持ち込んだのも原田さん本人。「人生のすべてをかけた」映画とのこと。「人を明るくする映画をこれからも作って行きたい」と言っていたそうです。大鹿村の綺麗な景色はもちろんのこと、住民たちの協力のもとに撮影されたクライマックスの歌舞伎のシーンはとても迫力があり目が離せなくなることでしょう。まずはあらすじを書きたいと思います。

■あらすじ
舞台は雄大な南アルプスの麓にある長野県大鹿村。風祭善はそこでシカ料理店を経営しており、300年以上の歴史を持つ村歌舞伎の花形役者である。ひとたび舞台に立てば、見物の声援を一身にあびる存在である。だが実生活は舞台での輝かしさが感じられないほどで、女房に逃げられ、あわれ独り身で暮らしていた。 公演を5日後に控えたそんなある日、18年前に駆け落ちしていなくなってしまった妻の貴子と幼なじみの治が帰ってくる。貴子は脳の疾患で記憶をなくしつつあった。そんな貴子をいきなり返され、どうしたら良いかわからず善は途方に暮れる。強がってはいたが、心は乱れ、ついには芝居を投げ出してしまうほどになってしまった。芝居仲間や村人たちが固唾を呑んで見守るしかなかった。そして刻々と近づく公演日。運悪くそこに大型台風までやってくる始末……。果たしてどうなってしまうのか、300年も続く伝統はここで途切れてしまうのか、小さな村を巻き込んだ大騒動の行方は…。

■率直な感想
まず配役が豪華。佐藤浩市や瑛太らの演技は安定感があり、安心して見ていられました。松たか子の適度な薄さもいい感じです。なにより原田芳雄さんの危機迫る演技が良かった。自分の運命を知っていたのでしょうか。

作中では認知症などの重い問題も扱いながら展開しますが、それぞれのエピソードがきちんと収拾されているかと言われればそうではありません。が、なんとなく見せてしまうあたりはやはり役者の力量によるものでしょう。一つ一つのつじつまをもう少し合わせてくれると良かったかな。 終盤の大鹿歌舞伎に向けて徐々に盛り上げていく手法は悪くはありません。しかし、そこにいたるまで人によっては退屈に感じてしまうかも。そして、いざ終盤に入ると、見所のある歌舞伎が展開されます。歌舞伎に興味がある人には面白いシーンではあるでしょうが、あまり詳しくない自分にとって、終盤のシーンは少し長いかなと感じました。

どこに興味を置くかでこの映画の評価は分かれるでしょうね。子供が見てあまりおもしろい作品では無いでしょう。が、役者の表情、声、演技には説得力があり、そこに注目すると楽しめるかもしれません。歌舞伎に興味があればなお良しですが、欲を言えば興味の無い人にも楽しめるエンターテイメント性が欲しかったところです。そこがちょっと残念でした。「日本独自の世界観を表している映画」と言う点では特筆すべき作品です。そして、俳優「原田芳雄」の役者魂を堪能できる映画として記録として、残される映画でしょう。ピンと来た方は是非。

それにしても原田芳雄さん。健康面で大変な中の撮影だったのでしょう。今後も危機迫る演技を欲しかっただけに残念でなりません。ご冥福をお祈りします。原田さんは個性は俳優として、私立探偵濱マイクや不毛地帯でもその個性を爆発させました。不毛地帯の情熱的な生き方と退廃的なラストとちょっとかぶる最後ですが、「人を明るくする映画をこれからも作って行きたい」とこぼしていたことから、現実には希望をたくさん持って亡くなられたのでは無いかと思います。ご冥福をお祈りします。【でんすけ】