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ベロオリゾンテの惨劇 / ミネイロンの悲劇

2014年、サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会。ここまで勝ち上がったブラジルとドイツの準決勝が7月8日(日本時間では9日)行われた。試合はベロオリゾンテ(ミネイロンスタジアム)で行われ、誰もが接戦を期待した。しかし結果はドイツが地元ブラジルを7-1と歴史的な大差で破り、決勝進出を果たした。

衝撃的なこの点差は1950年に同じくブラジルで行われたワールドカップの決勝での敗北「マラカナンの悲劇」を凌ぐもの。この出来事はミネイロンの悲劇(惨劇)、ネイマールショックなど様々な呼び名で呼ばれた。。

●試合の流れ
試合の流れはこうだ。

立ち上がりこそブラジルがボールを回していたが、すぐにドイツが牙をむき前半11分にセットプレイからミュラーのゴールでドイツが先制。そして前半23分、流れの中からクローゼが得点(クローゼは大会通算得点が16点になり、自身の記録更新。ここで単独首位)。ここから悪夢が始まった。

25分にクロースが三点目をゴールに流し込む。ここでブラジルサポーターが帰りはじめる。しかし、会場は諦めムードではなかった。しかし26分にまたもクロース。29分にケディラが立て続けにゴール。なんとわずか7分間に4失点。さすがに会場もあきらめムードに。前半を5対0で折り返した時点でミネイロンスタジアムは静まり返った。

●悲劇か惨劇か
後半もドイツの猛攻は止まらず。後半24分途中出場のシュールレがゴールを決め、後半34分にもまたまたシュールレが7点目のゴール。ここでもうブラジルサポーターも完全にあきらめたのか、ブーイングではなくドイツを称賛する声援が飛び交う異様なムードに(フレッジにはブーイングが飛んでいたが…)。試合終了間際43分にオスカルが流れの中から1点返すが、時すでに遅し、そのまま試合終了の笛。泣き崩れるオスカルを不出場のキャプテン、チアゴ・シルバがなぐさめる姿が印象的だった。

試合終了後、ブラジル国内では暴動が予想されたが、むしろ諦めムードが国内を覆い、逆に開き直ってドイツを称賛する声も目立った。※しかし試合後会場外での騒ぎが確認されている。

直前のコロンビア戦で攻撃の要 ネイマールがコロンビア戦の骨折による欠場、累積イエローカードでキャプテンでDFの要 チアゴ・シウバも欠き、たしかにブラジルに不安要素があった。しかしそんなことを吹き飛ばすくらいドイツは強かった。パスはことごとくつながり、相手のチャンスを落ち着いたラインコントロールとプレスでつぶし、シュートを打たれても大会No1キーパー、ノイアーが弾き返す。そこに隙は無かった。

反面ブラジルはドイツを上回るシュートを放っておきながら、ドイツのゴールをこじ開けなれなかった。単純にプレーの精度が違いすぎた。ブラジルには気の毒な展開だったが、前半2点目以降の精神的混乱がディフェンスラインに如実に表れたところを見ると、精神的にも成熟していたのはドイツだったと言わざるをえない。ネイマールだのみだったブラジルのもろさが露呈したとも言えるが、それも選手層と言う意味の総合力で上回ったドイツの強さと言えるだろう。おそらくサッカー史において永遠に語りつがれるであろうこの試合。前回大会(2010 南ア)ではキーパーのジュリオセザールが戦犯扱いされたが(これもちょっと気の毒だった)、今回は彼の問題では無かった。もうチーム全体が崩壊していた。

原因として以下のことが指摘されている。

1.先制点をとられ、焦って攻めにまわったスキを突かれた。
2.個に頼る戦術「ブラジル」における主力選手二人の欠場
3.ドイツに研究されつくしていた


原因はいろいろあっただろうが、あまりの大差にむしろ同情的な声が王者ブラジルに向けられると言う、めずらしい展開を誰が想像しただろうか。この試合は多くの人の記憶に刻まれることになった。ちなみにこういったブラジルの敗戦は○○の悲劇とか言われるけれど「7-1のスコアはさすがに惨劇」と言うことなのか、ミネイロンの惨劇とも呼ばれている。他には前コロンビア戦でネイマールを負傷させたスニガをネタにスニガの悲劇、それにともなうネイマールショック、開催地ベロオリゾンテの屈辱、ベロオリゾンテの惨劇とも。【でんすけ】