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新ドラえもん 声の遍歴

国民に大人気のドラえもん。2005年からの声の変更がいまだに物議をかもしだしています。アニメ全体のムードや雰囲気も変わり従来のファンは混乱。しかし、アニメそのものは良くなったとの声もあり、意見はまっぷたつに分かれています。今回はそんな「ドラえもん」について。キャスト一新で生まれた良い部分、悪い部分を個人的に検証してみました。

新どらえもんになってから数年。大長編の映画化も何作にもおよび、「鉄人兵団」ではまずまずのリメイクの出来を披露した新ドラえもん。しかし、もう長いこと議論になっているのがその「声」。多く寄せられるのは次の点です。

●ドラえもんの声が似合わない
●ドラえもんの性格まできつくなった気がする

と、これをどれも主役の「ドラえもん」についてがほとんど。ドラえもん役の水田わさびさんの声はどうもドラえもんにはあっていないと言うのです。考えられるのは「大山のぶ代 ドラえもん」が偉大すぎたと言うこと。大山期のドラえもんはアニメの中の代表作として、国民すべてが見ていると言っても過言ではないくらい人気のアニメでした。あの頃は今のようにアニメ作品が乱立しているわけでは無く、子供向けアニメとしてドラえもんに人気が集中。多くの人の記憶の中に「大山ドラえもん」が入り込んでいたと言えます。その特徴は「限りないやさしさ」。秘密道具を出すと言う点、ドジでおっちょこちょいな憎めないキャラである点、そのかわいらしいルックス、どれも今の水田ドラえもんにもあるものです。しかし、その「やさしさ」だけは再現しきれていない気がします。

声優陣を一新するにあたり、考えられた理由が声優陣の高齢化があげられました。本当にそれだけの理由なら大山どらえもんの声に似た人を探すのはそう難しくはなかったはずです。しかし、あえて大胆な変更をした。しかも水田わさびは大山ドラえもんに似ても似つかぬ声。ここには「大山ドラえもんのイメージを一新したい」と言ったスタッフ側の意思が見て取れます。「大山のぶ代の高すぎるギャラとの決別」、「それに伴うイメージの払拭」など様々な噂の真意はともかく、変化を求めるのは悪いことではありません。しかし、水田どらえもんが大山どらえもんの「やさしさ」を出すまでには何年と時間がかかりそうです。ここは声優としての腕の見せ所でしょうね。期待したいところです。

作品そのものに関しては原作を重視した、出来のいい作品との声もあります。やや人間味に欠けるドラえもんも原作に近づいたと言えばそうかもしれませんね。しかし、旧ドラえもんのアニメは原作とは違うかもしれませんが、アニメ独自の世界観がありました。そこに、もう一つのドラえもんの世界が確かに存在していました。そして、その世界を愛した人があまりにも沢山いたため、新しいドラえもんの声に馴染めない人もまた沢山いるのです。

今後、TVアニメはどう転がっていくかはわかりませんが、映画のほうでは美しい映像と練られたストーリーで新しい大長編ドラえもんを生み出しています。「鉄人兵団」のリメイクを見てそう思いました。確かに新しいドラえもんも残りつつあるのですが…。【でんすけ】