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めだかボックス 感想

めだかボックスは2009年から2013年まで週刊少年ジャンプで連載されていた人気マンガ。原作/西尾維新 漫画/暁月あきら。 主人公「めだか」をとりまく学園もの漫画で、最初はなんでも屋的漫画でしたが徐々にバトル化、それに従いサブキャラ達の人気もどんどん上がりました。めだかボックスには主人公「めだか」以上に魅力的な存在のサブキャラ達が多数登場します。今回はそんな「めだかボックス」の個人的キャラレビューを書いてみたいと思います。 ※キャラレビューはこちら

・めだかボックスとは
めだかボックスは2009年から週刊少年ジャンプで連載されている学園もの人気漫画。主人公「めだか」は生徒会長で人間離れした能力の持ち主ですが、彼女を取りまく生徒会や箱庭学園の生徒たちは彼女以上に魅力的な存在。原作者の西尾維新はライトノベルでも名をはせており、多くの名言を作品に盛り込む時代のキーパーソン。そんなめだかボックスも最初は苦戦していました。

・連載初期の苦戦
めだかボックスは連載当初、どこか「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズの影響を感じさせました。なにせ、主人公「黒神めだか」のキャラからしてハルヒとかぶっていましたから。 絶対的な力を持つ万能性、ツンデレキャラなど、あげればキリがありませんが、読者の多くもその様な感想を持っていたように思います。実際その二番煎じ感もあってか連載当初は苦戦し、西尾維新の作品にしては小さな規模で終わる予想もありました。めだかボックスは変革を迫られるのです。

・バトル化へ 人気の兆し現れる
その後、いくつかの修正を得て、現在にいたりますが、最も大きな修正は「バトル漫画」へと変化したこと。もちろんバトル漫画化は少年ジャンプでは常套手段で、バトル化自体にはそれほど驚きもなかったはず。雲仙冥利との戦いや都城王都との戦いで徐々に人気は出始めたものの、まだ爆発的人気とはなりませんでした。しかし多く登場した魅力的キャラ達はその後の人気につながる伏線をしっかりつくっています。このころからセリフにも名言が目立ちはじめます。

・球磨川登場 人気爆発へ
初期から登場していた黒幕的存在、球磨川禊の登場により作品が急展開。彼により西尾のセリフ回しも絶好調に。ライトノベルで培ったその実力が見え始めます。

球磨川は、

「勝利できないままで勝利できる奴に勝ちたい」「嫌われ者でも、憎まれっ子でも、やられ役でも、主役を張れるって証明したい」

と、どれも読者の想像の上を行くセリフを連発。 その名言ぶりから一気に人気キャラに。絶対的に主人公「黒神めだか」にない魅力を脇役キャラが補い、そのキャラ達の方が人気が出てしまうと言うこれまた想像の斜め上の展開に突入。やがて人気漫画へとなっていきました。では個人的感想を書いてみたいと思います。

・めだかボックス感想

めだかボックスが連載初期、週刊少年ジャンプにおいて苦戦を強いられた理由には、その雑多感による迷走があげられます。初期の内容はたしか…

-生徒会長で万能の主人公、「黒神めだか」が生徒たちの意見を聞く目安箱「めだかボックス」によって寄せられた問題を仲間と解決する-

そんな内容だったかとは思います。しかし、主人公めだかの「万能すぎる能力、ツンデレキャラ、必要以上に大きな胸、露出狂」と言ったその特徴はどれも読者を魅了するにはいたらず、仮に興味を持っても興味を持続させるストーリー展開もありませんでした。なぜそれが人気漫画になったのかは、「脇役」に秘密があります。そうです、めだかとは対照的に脇役たちが大いに魅力的なのです。

めだかボックス2011年度の人気投票では悪役で黒幕だった「球磨川禊」がなんと主人公めだかに大差をつけて1位に。そこにはこの漫画の大きな特徴が表れていると言えるでしょう。

主人公意外の脇役が人気になった背景には「共感出来ない主人公」の存在があるのは間違いないのです。主人公めだか自体がまるで大ボスのような、他のキャラ達が立ち向かう絶対的な存在であるが故、脇役達が輝くのでしょう。

その傾向は徐々に強くなって行きました。最初は阿久根高貴、人吉善吉などを通して「めだかの絶対の存在感」が対照的に描かれ、兄、黒神真黒や姉、黒神7くじら(名瀬夭歌)によって確信に変わり、やがて「球磨川禊」によって立ち向かう存在として絶対のものになる。そう、徐々に徐々に…。

やがて現れた安心院なじみにより、人吉が擁立され、他のキャラVS黒神の図式が出来る。ここにいたるまでには魅力的なキャラが数々生み出され、やがて読者はその中の誰かのファンになって行く。 そして「めだかボックス」と言う漫画を見ると言うより、「球磨川禊を見る」「阿久根高貴を見る」「宗像形を見る」など、読者の好きなキャラが見たくて漫画を見ると言う図式が出来て来ます。やがて気になる漫画になり、人気が出る。と言った感じでしょうか。 西尾維新が最初から計算していたかはわかりませんが、キャラ漫画の鏡と言うべきこの手法を使った「めだかボックス」。最終的には「人間ならざるもの」との戦いになって行きました。安心院さん、そして獅子目言彦(ししめいいひこ)。めだかの戦い方も圧倒的な力を誇示するものから、弱虫なりに強者と闘うような「ジャンプらしいスタイル」に変化。そしてどんどん主人公っぽくなっていく人吉が物語をクライマックスに導いて行きます。

言彦戦を終え、学校をやめるために学校全体の使い手達と闘うめだか。そこにはあんなに強かった言彦さえもエキストラ扱いで登場。おい、強引かよ!!

物語は一気に10年後へ。途中までかなりひっぱった展開が目立ちましたが、最後のたたみかけは強引かつ迅速。たくさんの作品を同時連載している西尾らしいのかもしれませんね。ジャンプらしさを嫌いながら、最後はジャンプらしさを見せてくれためだかボックス。しかしながらジャンプの過去の連載作品にも似ていないかなりオリジナルな漫画だったと思います。何かありそうだったのに意外にすんなりまっすぐ育った阿久根先輩。ひねくれた性格がいきなり180度変わってしまった不知火半袖。最後までキーマンだった球磨川。みんな愛すべきキャラクターでした。

ちなみにどれも魅力的なキャラの名前ですが、苗字はすべて九州の地名から取られています。黒神や人吉なんて地名、あるんですね。

個人的感想をつらつらと書かせていただきました。一番おもしろかったのはマイナス十三組編だったな。なんにせよジャンプの中でも異色の作品であることは間違いありません。【でんすけ】