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メルエム(王) キャラレビュー

HUNTER × HUNTERは『週刊少年ジャンプ』(集英社)誌上において連載されている人気漫画。1998年(平成10年)14号から、いくつもの休載をへて長期連載されています。作者は幽遊白書、レベルEなどで知られる富樫義博。2度にわたるアニメ化、OVA化もしており、根強いファンを獲得しています。今回はそんなHUNTER × HUNTERについて、超個人的レビューを書きたいと思います。
※作品の感想はこちら

  • メルエム(王)
  • キメラ=アントの王
  • 必殺技 オーラを食う能力 光り輝く円(仮称)
  • 名言 「余の名はメルエムだ」

●キャラレビュー

直キメラ=アントの女王が産み出したハンターハンター史上、最強の生物。ネテロ会長ですらその力には到底及ばず、誰もがその強さに恐怖と怖れを抱くレベルの力量。オーラを見ただけで、国家レベルの武力=王の力が互角かそれ以上と、ナックルに思わせるほどの強さです。
唯一、その強さに届き得る才能を所持していたのが、ゴンだったわけですが、その力はピトーを倒すのに使ってしまいました。

王の強さはこの通り申し分ありません。しかし、王は強いだけではなく、いつの間にか人格者としても、人間と対等にまで上り詰めていました。当初は暴君だったわけですが、コムギと軍儀を交わすなか、自分の価値観を変えていきます。そして、ネテロ会長が襲っても、話し合いで解決を望むという姿勢です。
コムギと接している中で人間とも共存を考えるようになったわけですが、蟻と人間、相成れるはずもありません。ネテロ会長にとって、話し合いで解決なんてことは絶対に不可能だったのです。そのため、それが出来れば苦労しないと心内で語っています。王の実力とその王らしき振る舞いをネテロ会長は認めていました。メルエムと王の名前を語ってから、ネテロ会長は自爆をして王を巻き込んで地獄へと旅立っていきます。その後、一旦、記憶を無くすのですが、王は最後にはコムギの記憶を取り戻します。そして、自分の命があとわずかしかないことを悟ります。 しかし、王にはたった一つだけ望みがありました。それはコムギに軍儀で勝つことでした。 それから王はコムギと軍儀で対戦するわけですが、コムギには一度も勝てないまま息を引き取ります。最後の台詞がとても印象的です。コムギが「この日のために生まれてきますた……!」と述べると「…そうか余はこの瞬間のために生まれて来たのだ…!!」と。

キメラアント編はこれで終わりですが、死ぬ瞬間まで、メルエムは王として尊厳と、一度も軍儀で勝てなかったコムギに対する想いを失いませんでした。 キメラアントという化け物ながらも、その人格はハンターハンターの誰よりも上だったかもしれません。ここは戦士として、ラスボスとしては弱さにあたるのかな。やがて、自分の何者なのか、なんのために生まれたのかの答えを知ってコムギの腕の中で最期を遂げていきます。どんな強さを持っていても、決して超えられない壁が存在する。 ハンターハンターの作者が伝えたいメッセージだったのかもしれませんね。

個人的には普通の漫画のボスキャラとは大きく違った印象です。何と言っても「ラスボスなのに、主人公が勝利して終わっていない。それどころかまともに会ってさえいない」と言う点が最大の特徴。ネテロ会長に結果的に倒されるわけですが、自爆による時間差の勝利のため「勝って終わった」感がまるでありませんでした。むしろ王に勝ったのはコムギでしょうね。しかも武力ではなく、愛によって「改心させての勝利」。まったく記憶に残ることをやってくれます。富樫先生。【さがら】