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彩川恒雄 キャラレビュー

『ONE OUTS(ワンナウツ)』は1998年から2006年まで、ビジネスジャンプで連載されていた野球漫画です。 作者は甲斐谷忍。映画にもなった『LIAR GAME』の作者として、ご存知の方も多いかと思います。2008年からはアニメ化もされ、今までにない新感覚の野球漫画として人気の作品となりました。 今回はそんな『ONE OUTS(ワンナウツ)』について、個人的感想を書いてみたいと思います。
※作品の感想はこちら

  • 彩川恒雄
  • 金が全てであるリカオンズのオーナー。
  • 自分の利益しか考えない平成の悪代官的人物。
  • 容姿:見るからに、おエラい金持ち。利欲にまみれた底意地の悪い笑みが特徴。
  • 性格:金儲け一直線。分かりやすい悪人。
  • アニメ版声優:内海賢二
  • 名悪言:「これで奴も終わりだ」(渡久地を罠に嵌めようとして)

●キャラレビュー

物事の全てを金中心で考えているリカオンズのオーナー。球団経営に関しても目先にあるのは金儲けであり、裏では密かに球団売却を企てている、根っからの悪人です。渡久地がリカオンズに入団することになった際には、ワンナウト契約に基づいた出来高制の報酬を約束しました。敵からアウトを一つ奪取するごとに、渡久地は500万円を獲得。反対に一失点につき渡久地が5,000万円の支払い。契約内容はこういったものです。

ワンナウト契約は極めて単純なシステムですが、その中身は甚だしく不平等です。彩川はこの契約を利用して、渡久地から金を巻き上げようと策略します。が、渡久地は生粋の勝負師。彩川は獲物を陥れるどころか、反対に食い物にされる事態となっていきます。モニターで試合の行方を傍観しながら、一喜一憂して狂い叫ぶ姿は見物です。しかし彩川は渡久地を潰すため、毎回毎回これでもかと言う程の罠を仕掛けます。敵や味方選手を買収したり、契約内容にこれまた不平等感満載な条件を追加させてみたり。金欲根性に火が付いてしまったのか、やたらと必死な感じが目立っています。ですがそれでもやはり、彩川が渡久地をオトせる日はやって来ませんでした。今度こそ窮地に立たせてやったと思ったのも束の間、最後の最後でどんでん返しを食らうことがお決まりの流れです。

あらゆる汚い手を使っているというのに、なぜだかことごとく突破されてしまう。渡久地に嘲笑われている自覚があるだけに、募った恨み辛みは相当なものだった事でしょう。自らの利得のみを考えている人物なだけに、彩川が渡久地に取って食われる場面は何よりも爽快です。まあそういった意味では、ちょっと可哀想な人かもしれません。ただ、悪役としては申し分のないキャラだったので、作品の終盤で敵役が交代されてしまったのは残念でした。

彩川はオーナーとしての地位から失墜し、後に渡久地の前には新たな悪役が登場します。しかし個人的に渡久地の掌の上で踊らされるのは、最後まで彩川であってほしかったと思います。金に対する執念を悪びれもせず曝け出し、悪役に徹する彼はこの作品を常に盛り上げてくれました。容赦なくメッタ切りにされる悪。その役に相応しい人物は、彩川を置いて他にいません。彩川は稀に見る秀逸な悪人です(と言うのもどうかとは思いますが……)。【わこ】