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球磨川禊 キャラレビュー

めだかボックスは2009年から2013年まで週刊少年ジャンプで連載されていた人気マンガ。原作/西尾維新 漫画/暁月あきら。 主人公「めだか」をとりまく学園もの漫画で、最初はなんでも屋的漫画でしたが徐々にバトル化、それに従いサブキャラ達の人気もどんどん上がりました。めだかボックスには主人公「めだか」以上に魅力的な存在のサブキャラ達が多数登場します。今回はそんな「めだかボックス」の個人的キャラレビューを書いてみたいと思います。
※作品の感想はこちら

  • 球球磨川 禊
  • 生徒会副会長
  • 元マイナスのボス的存在。
  • 3年13組所属。
  • 名言「勝利できないままで勝利できるやつに勝ちたい」
  • アニメでの声優 緒方恵美

●キャラレビュー

球磨川禊。箱庭学園3年-13組の男子。 通称、「誰よりも弱い男」。
水槽学園からの転校生で、何事にも負ける「負完全」。
喋る言葉には大体『』(二重鍵括弧)がつき、ほぼゆるい笑顔。

その特殊能力は「大嘘憑き(オールフィクション)」と「却本作り(ブックメーカー)」。 その特徴は多すぎて書ききれないほどですが、彼は読者に強烈な印象を残しました。 可愛い顔にぶっ飛んだ発言、大ボスでありながら緊張感の無いムード、生徒会に入ってからも敵が味方かわからない存在。

彼は人気投票ではなんと2位を大きく引き離しての1位。ジャンプでもかなり特殊なキャラと言っても良いでしょう。 アニメでの声優は緒方恵美さん。『』付のしゃべりは特に工夫無く普通に演出されています。すっきりして感情のこもらない声はとても球磨川にあっていますね。

この球磨川禊と言うキャラ、なにせ一筋縄ではいかないキャラです。連載当初から伏線が描かれており、登場時も大ボスとして、めだか達を恐怖に陥れる描写が多く、その様はまさに純粋悪。その後、まさかの改心により生徒会に…。

彼には多くの名言が沢山あり、読者にも人気の高い安心院とのシーンでいくつもの名言を連発しました。

「友達ができないままで友達ができるやつに勝ちたい」
「努力出来ないままで努力できるやつに勝ちたい」
「勝利できないままで勝利できるやつに勝ちたい」

などなど。 この発言はジャンプの家訓、 友情、努力、勝利にまっこうから立ち向かう発言であり、球磨川と言う存在を表しています。 彼は何故そこまで人気なのか。

自分も実は登場時から彼が一番のお気に入りキャラでした。彼が登場するまでのめだかボックスは、なにか消化不良な印象があり、そのほとんどはおそらくキャラの突き抜けなさにあったと思います。どこか西尾キャラの説明的格好良さが説明だけで終わっており、実際に格好良いとまでは昇華できてなかったのが原因かと思います。

漫画めだかボックス連載当初の問題。それは前半のキャラ迷走です。主人公のめだかは万能すぎて感情移入し辛く、人吉善吉も感情移入するには読者目線にはなりきれていない。阿久根や喜界島もキャラ模索中で魅力にかけていました。(そのせいか阿久根は初期人気投票でもかなりの下にランク…)。

敵ボスキャラの雲仙や都城も設定は良いのですが実際のキャラの動きが弱かったので説明だけで出オチしていた印象。

そんな中、球磨川禊はこの漫画に最初に現れた「設定と動き、キャラ設定すべてが一致したキャラ」だったのでは無いでしょうか。事実、球磨川が登場してから他のキャラも水を得た魚のように生き生きと動きはじめ、各キャラ達のキャラ設定もどんどん固まって行きました。そう、主人公のめだかでさえ彼によって動きが良くなって行ったのです。そしてそれに呼応するように作品の人気も上昇、ついにはアニメ化にまで発展しました。おや、アニメ化は大げさじゃ無く球磨川君のおかげだよ!(爆)

彼の能力を見てみると、異常な能力ばかり。中でもオールフィクションはほとんどの事を「なかった事にできる」反則的能力で、最強と言っても過言ではない能力。ブックメーカーは球磨川が生まれ持つ本来の能力で、食らわせた相手の全てのレベルを球磨川と同じ弱さにまで引き下げる能力。これも強力で、のちの黒幕、安心院を封印するほど。しかし、ブックメーカーはオールフィクションほどのインパクトはありませんでした。おそらくオールフィクションは味方キャラとしては使いづらい能力のため、後を見越して彼はその能力を失ったのでしょうね。しかし、その後の展開は大きく動きました。第三勢力設立、宗像との戦いの中で一度絶命、そしてオールフィクション復活と、最強カードを次々と復活させています。

まあつらつらと書きながら彼の魅力を考えてみたのですが、一つ気づいた事があります。 そうだ、彼は異常でありながら、めだかや人吉以上に我々が共感すべき点を持っているんだと(特に男子)。ジャンプの家訓に反し、楽をして幸せを手に入れたいと望むところ、女子の裸エプロンやパンツなどに興味を持つところ、素直になれず、弱い心にどこか誇りを持っているところ。 誰もがあまり人には言えないけれど持っている密かな感情を彼は体いっぱいに表しているのです。それでいて可愛い顔、ベジータ的に仲間に入ってくるあの展開、人気が出ないわけありません。

主人公のめだかではなく球磨川を見るためにめだかボックスを読む読者が増えたとか。

そんな球磨川さんですが、生徒会副会長として見かたになってからは奇妙な行動が目立ちます。そうです、何気に仲間思いなのです。変態さは相変わらずですが、その行動は明らかに以前とは違い、仲間思いのものに。しまいには宗像形と戦い、喜界島もがなをかばって大負傷。テロップにより、「およそそれ以上はない惨めな敗北の末に命を落とす」「その死を開戦の合図として箱庭学園最後の戦いは火蓋を切る」などと、死の予告さえされてしまいます。おいおい、どうなったんだよ球磨川禊。みんな感動してしまうじゃないか。そこでとんでもない名言が飛び出したのであげておきましょう。

「負けても勝てなくても馬鹿でも 踏まれても蹴られても悲しくても苦しくても貧しくても 痛くても辛くても弱くても 正しくなくてもいやしくても それでもへらへら笑うのが過負荷(僕たち)だ!!」…く、球磨川さん、そんなに仲間意識があったとは!!

こうして死亡フラグが立った球磨川さんですが、次の回でまんまと復活。宗像に殺されたことでオールフィクションの能力が戻り、死んだことを「無かったこと」にしたとか。どれだけとんでも野郎なのでしょう。その後、喜界島もがなや、体験入学の中学生達とともに第三勢力を設立。

彼は最後までめだかのそばにいて、主人公パーティーに組み込まれてからも物語をかき回してくれました。そして、最後までキーマンだったのも彼。物語の人気が加速した功労者も彼。めだかボックスの裏の主人公だったのは間違いありません。彼が出た瞬間にアニメが終了したのは本当に残念だったな(アニメでは普通に声優さんがしゃべってました)。

ちなみにこの球磨川さん、ジャンプネクストにて番外編「グッドルーザー球磨川」が掲載されました。球磨川の過去の話なのですが、これが意外に淡白な話(笑)。「何を考えてるのかわからない残酷な球磨川さんが何を考えているかわからない残酷な敵と、感情を持たずに戦う」と言うとんでもない内容で、とても主人公にはなれない人物だと言うことが良くわかります(笑) 【でんすけ】