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伊東鴨太郎 キャラレビュー
「銀魂」は現在週刊少年ジャンプで連載中のSF時代劇漫画です。2011年7月の時点でコミックス累計3600万部数以上発行され、2006年4月からテレビアニメ化、その後ゲーム化、ドラマCD化、小説化もされるなど、ジャンプトップクラスの人気を持つ作品の銀魂。個性的なキャラ達はそれぞれが根強いファンを獲得しています。今回はそんな銀魂について、超個人的キャラレビューを書いてみたいと思います。
※作品の感想はこちら
- 伊東鴨太郎 真選組参謀(生前)
- メガネをかけている。
- 鬼兵隊と手を組み裏で真選組を私物化しようとする。
- 名前の由来は新撰組参謀「伊東甲子太郎」と筆頭局長「芹沢鴨」
- アニメでの声優 真殿光昭
- 名言「孤独を受け入れられず、孤独であることを人のせいにした。」
●キャラレビュー
文武両道であり、入隊1年程で参謀の位置につく伊東ですが、悪役臭がプンプンしています。武闘派が多い真選組の中で政治面に強い頭脳派であるせいか、近藤からは「先生」と呼ばれ一人浮いた様子が伺えますが、土方とはお互いを認め合うものの忌み嫌い合っていて「いつか殺してやるよ。」と言い放ったり鬼畜さはあまり隠してはいません。
表は良い子ちゃんで裏では悪党、といった悪役キャラは他の漫画でもよく見かけますが、伊東はある意味では裏表のない悪役キャラだと思います。 真選組を裏切る伊東の姿は初め「ワンピース」の「キャプテン・クロ」に似たようなものを感じていましたが、表面だけ見ると伊東に近いキャラクターは「天空の城ラピュタ」の「ムスカ」だと思います。インテリで立場もあって、そして冷酷な独裁者思考。しかしアニメ界ではある意味絶対的な人気のある悪役「ムスカ」と共通点があるもののそこは銀魂、人情あっての漫画なので伊東は根っからの悪役では終わりません。
幼い伊東は、体の弱い兄につきっきりな両親に構ってもらいたくて、剣術も学問も沢山の努力をしますが振り向いてもらえず「次男では宝の持ち腐れ」とまで言われてしまいます。 さらに努力をして手に入れた文武両道の姿は逆に周りから僻みの対象とされ、友人にも恵まれませんでした。 こんなに報われないことってあるの?と悲しくなってしまうほど孤独な伊東の過去。 そういったトラウマとプライドの高さから蝕まれた伊東の心は孤独であることを他人のせいとし、悪名でもなんでも構わないから自分の器を天下に知らしめることを求めます。ですが真選組を私物化するため裏で手を組んでいた鬼兵隊にも結局は真選組壊滅の捨て駒とされてしまいます。 絶望の淵に立たされた伊東は、自らが裏切った真選組の近藤達が自分に救いの手を差し伸べてくれる姿を見て、自分が本当に欲しかった「絆(いと)」が既にあったことに気付きます。 気付くのが遅くて沢山後悔もしますが、最後は近藤達を鬼兵隊の攻撃から守り、土方に「裏切り者」としてではなく「真選組の隊士」として静粛され最期は「ありがとう」と言い残し息を引き取ります。 その姿からは後悔はなく今までのトラウマから解放されたようにも見えて、ある意味ハッピーエンドで幕を閉じます。なんだかやっと今までの努力が報われたのかな、天国では笑顔でいれたらいいな、と悪役であるにも関わらず読者にはあまり悪い印象を残さず人気があるのも銀魂ならでは。「悪役なのに人間味があってどこか人を惹きつけるキャラ」伊東はその代表格にあると思います。
悲しい最期を遂げた伊東ですが、真選組の隊員達の胸の中で生き続けていて欲しいなと思うのは私だけじゃないはず。ちなみに実際の新撰組、伊東甲子太郎も裏切り、裏切られの悲劇の大物大使。藤堂平助など古くからの同士も巻き込むほどの壮絶な最期は知っておいて損はないはず。【ことひめ】